植物工場ビジネスという本。個人でもできるってかいてあるから。
低コスト型なら個人でもできるというサブタイトルに誘われて、こんな本を買ってみました。池田英夫 日本経済新聞社です。10章からなる213ページの書籍です。著者は千葉大学大学院教授と記されています。2010年初版なので、すでに8年前です。定価1800円。帯には写真のように低コスト型植物工場と書かれており、もしかしたら自分でも始められるんじゃないか?なんて期待を持って購入しました。農業をビジネスとして成功させるためのノウハウが満載!なんて書かれたら、期待しますよね。
読み進めると・・できそう・・・??オランダはできている!
著者の研究フィールドの影響なのか?海外、特にオランダの農業との比較が随所に見られました。オランダでは・・・CO2施肥がしっかり管理下でなされているとか、農業教育の仕組みがあるとか、という感じで、特に第3章ではオランダの成功例を示して20ページほど、日本との比較がなされています。生産的なオランダの工夫に深く触れており、技術面での深い考察は読み取れました。
でも、ちょっと調べると、色々な意見があるみたい。
こんなにオランダの農業ってすごいんだ!って感化されたところで、色々調べて始めると、やっぱり異論があるみたい。例えば、こんな感じ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/iwasahiroki/20140320-00033745/
農業生産法人 株式会社GRA 代表取締役CEO 岩佐大輝さんの寄稿です。
実際に農業法人をやっているということで、こちらの方がやや実践的な内容です。マーケティング視点で農産物をとらえ、そもそもEU内での輸出を前提としたオランダと国外には容易に輸出できない日本の差があるので、同じ手法を取ることはできないとの指摘です。ここで池田氏と岩佐氏の決定的な違いは2つあり、一つは視点の違いで技術or経営と立脚する位置の違いです。もう一つは生産量で、少量or大量の差です。
少量生産であれば技術的にも確立は容易で”生業”としてはあり得る。という本。
本書では少量生産に比較的収益性の高い野菜であるほうれん草とかいちごであれば、ビジネスとしても十分成り立ち、技術確立も比較的容易であると主張されています。技術的アドバイスやノウハウにあたる記載は比較的多いが、全く知識ゼロからのスタートには難解さを感じ、自分には生産していけるという感じは残念ながら得られませんでした。またいかにして”売るか”についての記述は少なく、その点でもビジネスとして続けていけるという確信には至りませんでした。初期コストやランニングコストの説明とか資金の調達・補助の紹介等、植物工場をビジネスとして始める際の考慮点は網羅されているイメージですが、いざ動き出そうとしても、本著の内容では自分ではスタートできないと感じました。
気になったのはこの3点かな。ちょっとためしてみようって部分。
本著の中でこれはいいなって思ったのはこの3点。
- 水耕栽培のロックウールとかヤシガラの記載や、いろいろな栽培方法の紹介
- 補助金等の紹介(ただしちょっと古いので使えないが、そういうものが県等で準備されているんだって知れたこと)
- 自動化やデータ収集の重要性の記載。効率的にやっていくには、頑張りとか勘に頼るのではなく、産業的な手法を積極的に取り入れましょうという内容は共感できました。
ただ、個人でもできる・・・は、すでに農業を手がけている人が、サブとしてスタートさせるという感じで、いきなり就農としてやり始めるという内容ではなかったことが読了した本書の印象でした。自分的には残念。(本一冊じゃできるわけないだろ!って言われると当たり前なんですが・・・。)
もっと読まないとダメそうですね・・・・・。