AI農業って本当にありなのか?IOTやAIは本当に豊かな農業にしてくれるのか?

   

AI農業って本当にありなのか?

こんな本を読んでみました。
「ITと熟練農家の技で稼ぐAI農業」です。

本書の著者の主張は、各農家がノウハウとして蓄積してきた経験をIOTやAIを用いてデータとして蓄積して、新しい世代へスムーズに引き継ぎを行い、最終的にはデータを知財として販売していくべきだ、という内容である。

確かに農業という産業を未来へつなげるためにはデータとして次世代につなげていくことは必要なことである。しかし、いまだに農業は閉鎖的な部分が多い。、従事する人々は今や高齢であることに加え、これまでその知識を形式知化した経験がない人がほとんどであり、データとして次世代につなげていこうと考える人たちは少数派であろう。脱サラして親の畑を次いだ人は親の世代からの技術を聞き出し、自分の知識とすることに非常にに時間がかかったといっていた。基本的に1年単位の長い期間であるのに加えて、変化する自然環境にたいしての処方が”経験”によるニュアンス的な内容になってしまい、なかなか伝わらない事が多いからである。

これは工業の世界では、十数年前に経験したことである。例えば、ある町工場の熟練作業員が定年を迎え、技術が途絶えてしまうといった例である。この波がいよいよ農業に達したと考えるべきでる。

では、工業の世界ではこの流れをいかに乗り越えたのか?

工業の世界では以下の3つのステップでその壁をのりこえた。

1つ目は、熟練作業員から若手への知の移動である。一般的にOJTと呼ばれるやり方で、知の移動。
2つ目は、暗黙知の形式知化。熟練者の作業を標準書として勘所をまとめる。
3つ目は、数値化。

工業の世界では、熟練工も数値を扱う技術者である場合が多く、これらのステップは比較的理解されながらすすみ、また定年制もあり、知の移動は時期が来ればなされる場合がおおい。

対して、農業の世界ではどうであろうか?


高齢者も生涯農業生産をつづけられる現状では、ノウハウとして自己が所有するメリットの方が高く、容易に上記3ステップがなされるとは思えない。
ここが問題であり、おそらく本書に書かれているAI農業は大きく浸透する事はないだろう。

残念ながら、本書は農家視点から考えた新しい農業ではなく、工業分野(ITやAIを知る者)が新たな領域として農業を志向した内容ではないだろうか?
新しい技術を使うとなんか良いことがありそうですよといっても、個人事業主である農家さんはやります!とはならない。

本当に農家が求め、それを提供する技術とはどんな技術だろうか?

個人的には、身体拡張もしくは自動化だろうと考える。知の継承は自動化の中で収集されるデータで十分であり、いま、早急に進めるべき内容ではないと思われる。

ただし、このAI,IOTをマーケティングや食の安全に用い流のであれば、別かもしれない。たとえば、農家さんが育てる様子を撮影し、アピールできる動画をとるためにアイカメラ等であれば、容易に受け入れられるかもしれない。

今の日本の農業にAI導入を目論むならば、その進め方についても慎重に行くべきである。やり方を間違うと、google glassのように警戒感を抱かれ、浸透しないまま闇に葬られる可能性がある。デリケートな問題であるので、急進的に取り組むべきではなく、緩やかな浸透を目出すべきというのが、農家出身の自分の考えだ。


 

 -本を読んでみた。

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